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360度フィードバック導入に向けて、最初に考えるべき基本事項

  • 360度FB基本を学ぶ

4つの基本Step

以下の4つのStepにて実施します。まずは全体の流れを理解しましょう。

Step1【企画・設計】実施目的、対象者、社内広報などの検討。およびサーベイ設問の決定(設計) 等
Step2【サーベイ実施】サーベイ回答開始メールの配信~回答実施。および個人報告書の作成 等
Step3【結果活用】人事部として結果の集計・分析。フィードバック研修など本人への結果返却 等
Step4【フォロー】職場ミーティングや個人面談。一定期間経過後の振り返り 等

なお、各Stepにおいて検討すべきことなどは、別のカテゴリーにて解説していますので、そちらもご確認ください。

スタートから終わりまでどのくらいかかるのか?

実施全体(準備から実施、個人結果の返却まで)として、3~4ヶ月程度を見積もっておくのが一般的です。
ただし、設問が既に決まっている場合、また使用するサーベイシステムの機能によっては、2~3か月での実施も可能となります。
所要スケジュールは、「何を」「どのように」「どのレベルまで」行うのかによって、大きく左右されるものであり、初回実施においては余裕を持ったスケジュールを見積もることをお勧めします。

回答期間の考え方や目安は?

回答スタートから回答締切日(社内広報上の締切)までの期間を2週間、その後、未回答者へのフォロー期間として1週間。合計3週間を設定するのが一般的です。
なお、回答スタートの1週間後、または回答締切日が近づいてきたタイミングで、未回答者に対して回答を促すリマインドメールを送ることも有効です。

留意すべきは、上位職位者(役員や部長)の回答です。上位職位者は、上司として複数名の対象者を回答しなければならないことが多く、多忙な中で最も回答負荷がかかる回答者であると言えます。前もって趣旨説明しておく配慮が求められます。

意外と曖昧な「実施目的」

まず考えるべきことは、「実施の目的を設定すること」です。ただし、「管理職の強化」といった曖昧な表現ではなく、できるだけ具体的に設定することが重要です。
しかし、多くの会社が目的が曖昧になっているケースが多く見られます。ある程度具体的に目標を設定している会社もありますが、設問設計の段階になると、その目的を見失われているのでは...と感じるケースも少なくありません。

360度フィードバックの実施効果を最大に高める鍵は、目的に応じた「設問(評価項目)の設定」「結果返却の方法」と言えます。これらの鍵は「実施目的」によって内容が変わってきます。
それだけに、具体的な目的を設定しておかないと、施策全体が曖昧になり、実施効果が高まりません。

誰を対象者とすべきか?

360度フィードバックはすべての社員が対象者となりえますが、導入企業の多くは「管理職」を対象としています。
管理職の行動が部下に与える影響は大きく、良い組織・強い組織をつくる鍵となる存在(役割)であることがその理由と言えるでしょう。
なお管理職は、他者からのフィードバックを受けることが少ないため、より実施効果が高いといえます。

一般社員を対象者とする場合は、考慮しておきたいことがあります。【なるほどQ&A】もご参照ください。

回答者の選び方  悩み多き作業といえます

回答者の条件は「日頃から対象者と一定の接点があり、職場や業務上の行動を観察(確認)できていること」と言えます。
同じ職場の上司、部下、同僚から、概ね5~10名程度を回答者として設定してください。

なお、回答者の選定方法として、以下のパターンが一般的です。
1)人事部が選定:
  公平感あるが、人事部の作業負担が大きい。また、必ずしも現場における適切な回答者を選定できないこともあります(同じ組織であるが対象者と実際には接点が少ない回答者を選定してしまうなど)
2)対象者本人が、サーベイシステムの機能を使って自ら回答者を選定:
  対象者本人の納得感もあり、人事部の作業負担も大きく軽減されます。ただし、対象者が、嫌いな部下を回答者から外すなどの意図的な選定となってしまうリスクもあります。その場合、対象者が選定した後で「上司が選定内容を承認する」プロセスを組み入れることである程度回避できます。

なお、管理職によっては部下が極めて少なく、回答者として5名も選定できないというお悩みを抱えていらっしゃるケースは、人事評価における2次評価者や業務上つながりの多い関連部署の関係者なども行動を観察(確認)できるのであれば、回答者として加えることも検討してください。