「人材育成においては、弱みを改善するよりも強みに注目し、それを伸ばすことが重要だ」
近年、このような考え方が広まり、多くの組織が「強みベース」の人材育成を志向するようになりました。
もちろん、これはとても大切な考え方です。個人の特性や持ち味を尊重し、自信とモチベーションを高め、ポテンシャルを引き出す育成手法は、組織に前向きな雰囲気をつくります。
しかし、すべての場面において「強みに着目し、強みを伸ばすべき」と結論づけてしまうのは、果たして適切なのでしょうか。
A課長の360度フィードバック
A課長は、自分の考えを強く打ち出し、論理的思考と迅速な業務遂行が持ち味です。
率先垂範の姿勢でチームを力強く牽引し、合理的な判断によって仕事をスピーディーに効率的に進めることにも定評があります。
こうした姿勢はまさにA課長の「強み」であり、組織としても高く評価してきました。
しかし同時に、360度フィードバックの結果から次のような課題も浮かび上がってきました。
・部下の意見に耳を傾けず、自分の考えを強く押し通す
・部下に対する期待水準が高く、それに応えられない部下に対しては苛立ちを
あらわにし、厳しく叱責する
・部下が精神的に追い詰められている様子もうかがえる
・組織内に「上司の顔色をうかがい、言われたことだけをこなす」風土が
根付いている
(A課長ほど極端ではないかもしれませんが、皆さんの会社にも同様のタイプの
管理職が いらっしゃるのではないでしょうか?)
こうした状況の中で、A課長に対して「弱みを改善するよりも強みに着目し、
強みをさらに伸ばしていきましょう」と推奨すべきでしょうか?
「弱み」は、本人だけの問題ではない
管理職の「弱み」は、単なる“管理職個人の問題”にとどまりません。 それは組織、特に部下に対して、深刻な影響を与える可能性があります。
たとえば、A課長のような . . . . .
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