360度フィードバックの結果を管理職本人に返却した後、このような相談を受けることがあります。
「レポートのフリーコメント欄に、『いつも気軽に相談に乗ってくれて感謝しています』
という声がありました。でもそのすぐ下に、『もっと親身に相談に乗ってほしい』と
いう真逆の声もあるのです。自分としては、部下一人ひとりに気を配っているつもり
なのに…。どちらが本当の評価なのでしょうか?」
ポジティブな声とネガティブな声。
一見、矛盾しているように見えるこれらのコメントは、多くの管理職を戸惑わせます。
もしあなたが人事担当者としてこの場にいたら、この悩める管理職に、どのようなアドバイスを送りますか?
「同じ行動」でも違って見えるのがマネジメント
管理職は「部下」という一つの集団を相手にしているのではなく、異なる経験・価値観・
期待を持つ“個人”の集まりと向き合っています。
例えば、ある上司がこう考えていたとします。
「若手社員は不安だろうから、こまめに声をかけよう」
「ベテラン社員は自立しているから、口出しせず見守ろう」
これは一見、理にかなった配慮あるマネジメントです。
しかし、部下の側から見るとその“善意”が別の意味に転じることがあります。
若手の中には「上司がよく声をかけてくれてありがたい」と感じる人もいれば、「細かく口出しされて息が詰まる」と感じる人もいます。
ベテランの中にも「任せてもらえて信頼されている」と受け取る人もいれば、「困っているのに見て見ぬふりだ」と感じる人もいます。
つまり、「上司として同じ行動」をしていても、受け取る側の文脈によって意味がまったく変わってしまうのです。
このギャップを埋めるには、「どう関わるか」だけでなく、「どう受け止められているか」に目を向ける必要があります。
これこそがマネジメントの難しさであり、同時に360度フィードバックの価値なのです。
360度フィードバックは、「自分の行動がどのように受け取られているか」という“人の認知の違い”を可視化してくれます。
「聞く」よりも「話したくなる関係づくり」
多くの管理職はこう考えます。
「自分の関わり方に対して部下がどのように思っているのかを確認したいのであれば、
1on1など個人面談の場で直接聞けばいいのでは?」
もちろん、定期的な1on1は重要です。 しかし、1on1をしただけでは、部下が実際にどのように思っているのかはなかなか見えてきません。
なぜなら、1on1の場では多くの部下が「上司の期待に応えよう」として、本音を言葉にすることをためらうからです . . . . .
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